ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
――――――――――――――――――――――――――――……
「――坊ッ!!!」
目の前に、芹霞の瞳があった。
吸い込まれそうな程…
神秘的な黒い瞳。
夢を見ていたのか、俺は。
芹霞がいる。
芹霞は…
生きているじゃないか。
思わず微笑んだ俺に…
パシンッッ
頬に痛みが走った。
「坊、目を覚ませッ!!!」
違う――。
芹霞じゃない。
これは――。
「坊、8年前同様、私が少しの間芹霞の命を繋ぎ止める。
芹霞の中の、血染め石の名残を膨張させる。
この闇の磁場に、芹霞が引っ張られることがないよう、お前は血染め石を使ってこの場を治めて、藤姫を叩き潰せッ!!!」
嫌だ。
俺は芹霞の側にいたいんだ。
離れたくないんだ。
頭を横に振り続けながら、
芹霞だった骸を…
しっかりと抱く俺。
破裂音。
緋狭さんの強い平手が、俺の頬に入った。
「煌も桜も、回復した玲も金も既に藤姫の元に行った。
お前は、まず闇が蔓延(はびこ)るこの場を治めよ。
この闇は、血染め石の力がなければ無秩序に拡大するばかりだ。
今なら間に合うのに、お前はみすみす…芹霞を闇に堕とす気かッ!!」
"今なら――"
「――坊ッ!!!」
目の前に、芹霞の瞳があった。
吸い込まれそうな程…
神秘的な黒い瞳。
夢を見ていたのか、俺は。
芹霞がいる。
芹霞は…
生きているじゃないか。
思わず微笑んだ俺に…
パシンッッ
頬に痛みが走った。
「坊、目を覚ませッ!!!」
違う――。
芹霞じゃない。
これは――。
「坊、8年前同様、私が少しの間芹霞の命を繋ぎ止める。
芹霞の中の、血染め石の名残を膨張させる。
この闇の磁場に、芹霞が引っ張られることがないよう、お前は血染め石を使ってこの場を治めて、藤姫を叩き潰せッ!!!」
嫌だ。
俺は芹霞の側にいたいんだ。
離れたくないんだ。
頭を横に振り続けながら、
芹霞だった骸を…
しっかりと抱く俺。
破裂音。
緋狭さんの強い平手が、俺の頬に入った。
「煌も桜も、回復した玲も金も既に藤姫の元に行った。
お前は、まず闇が蔓延(はびこ)るこの場を治めよ。
この闇は、血染め石の力がなければ無秩序に拡大するばかりだ。
今なら間に合うのに、お前はみすみす…芹霞を闇に堕とす気かッ!!」
"今なら――"