ベタな展開でホラー(短編集)
「あっごめん!」





思わず手を引いて、そっぽを向いてしまった。







女の子の手に触れるのは初めてだったので、びっくりしてしまった。







隣りの席の鈴木さんとは喋ったことはない。







だけど彼女が優しいことは知っている。







彼女だけは僕を馬鹿にしたりしないし、僕と目が合うと微笑んでくれる。






そんな人は彼女だけ。








窓際の席の彼女は授業中、いつも窓の外を眺めている。






指をカーテンに絡ませながら。







僕は少しふくよかな鈴木さんの横顔を、ばれないようにいつもこっそり見ていた。









ちょっとのんきそうな彼女の横顔を見ると安心したんだ。






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