ベタな展開でホラー(短編集)
「あーん。ちこくちこく~」



洋子は今日から女子高生。



期待で胸ふくらますBカップ少女。



たくさん友達を作って、かっこいい男子と恋愛するんだと色々妄想していたら、もう朝の9時。



きちんと朝食を食べる時間もなかったので、食パンくわえての初登校になってしまった。




(うう・・・これが原因でいじめられたらどうしよう・・・)





半べそをかきながら、軽やかな足取りで曲がり角を曲がる洋子。





その時だった。





洋子の前にこの世のものとは思えないほど美しい男が、洋子と同じタイミングで曲がり角を曲がったのだ。



必然的に二人はぶつかることになる。




吸い寄せられそうになるほど澄んだ黒い瞳。





透明感のある白い肌。




少し茶色みがかったワイルドな髪。



(はわわわわ・・・・すごく恰好良いよぅ・・・)



洋子は一瞬にして、その美青年に恋に落ちた。






ただ一つ残念だったのは、その美青年はダンプカーに乗っていたことだった。







「ぎょえー」




ギチチチチチ。




洋子は車輪に巻き込まれ、胴体が真っ二つになってしまった。






洋子のくわえた食パンに、鉄の味の苺ジャムが塗られた瞬間だった。






おしまい。














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