ベタな展開でホラー(短編集)
産気づいた彼女は自宅のトイレで出産した。





男の子だった。





さとみは深夜になって、赤子を抱えてある所に向かった。







彼女が向かったのは近所の川だった。






大人の腰くらいまで浸かる深さの川。






さとみは川に架かる橋の上で、何度も何度も謝った。







「ごめんね。ごめんね。馬鹿なお母さんでごめんね」







さとみは罪悪感にさいなまれながら、赤子を川へと放り落とそうとした。







その時だった。










「僕は指輪じゃないよ」









確かに腕の中で聞こえた。






男の子の声だった。






おしまい




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