青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
 そして深夜。

 澄んだ空気は夜空に浮かぶ星を鮮やかに映し出し、空兎は星と同じように目をキラキラさせて、はしゃいだ。

 それに疲れると、ジョーが持ってきた寝袋に入って寝息をたてる。女子高生というより、遊び盛りのわんぱく小僧のようだ。

 そんな空兎に振り回されて疲れたのか、仙太も続くかのようにジョーから寝袋を借りて眠った。

 セレビアも眠りについたが、彼女はいつも野宿しているときに使っているという自分のハンモックを森の木々にかけて眠っている。“本”を探しに旅をしていただけに、こういった生活は慣れているようだ。

 そしてジョーは、皆が眠って二時間ほど経過した後もまだ起きていて、焚き火を絶やさないよう見守っていた。誰に言われたのでも、取り決めをしたわけでもないが、ジョーは寝ずにそれをしていた。

「……寝ないんですか?」

 ふと、目が覚めた仙太が、半身を起こしてジョーに尋ねた。火の照りだけで見えるジョーの真顔は仙太を見るなり、いつもの爽やかスマイルに変わった。

「やぁ、眠れませんか?」

「いや、それはこっちの台詞です。緋上さん、眠れないんですか?」

「いえ、そういうわけでは・・・・・・あ、いや、そうですね。どうにも寝付けなくて」

 やや歯切れ悪く答えたジョーに、仙太は怪訝な顔になる。

「もしかして、僕らが寒くならないように火の番をしているとか? それなら大丈夫ですよ。この寝袋、凄い暖かいですし」

「それはなによりです」

 ニッコリと微笑むだけで、寝る素振りは一向に見せないジョー。仙太の抱く不安はますます募るばかりだった。

 そんな彼の心境を悟ってか、安心させるような口調でジョーは告げる。

「心遣いありがとうございます。でも、僕ももうすぐ寝ますから、心配しなくても大丈夫ですよ」

 「寝不足のテンションじゃ、空兎ちゃんに怒られそうですからね」と付け足して、微笑みを空兎の寝顔に向ける。仙太もそれにつられて彼女の寝顔を見る。起きているときの暴れ振りが想像できないくらいの、安らかでおとなしい寝顔だ。

 そんな彼女に、仙太は妙な胸の高鳴りを感じた。

「・・・・・・仙太くんは空兎ちゃんが好きなんですね?」

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