青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)

☆ありえないっ放課後

 恐らく目的地は図書室だろう。
 仙太は、暴走機関車のように走っていった彼女に溜め息をつきながらも、やはり放っておけないのか、だいぶ遅れて空兎の後を追った。もちろん徒歩で。

(そういや、図書室行くのは初めてだな……)

 入学して一週間。まだ入ったことのない教室も多い。仙太にとって図書室もその内の一つだ。これも良い機会だなと、思いつつ、図書室への歩みを少しだけ速めた。

入学二日目に校内案内で一度通っただけなので、曖昧な記憶を頼りながら少し迷ってようやく辿り着けた。

 中に入ってみると、図書委員らしき上級生の女子が受付に座っており、丁寧にも仙太を笑顔で出迎えてくれた。少し照れながらも一礼で返し、一通り中を見回す。見えるところに空兎の姿はない。

 というより他に利用している人がいなさそうだった。

(あまり使う人がいないかも・・・・・・)

 あの受付の上級生の笑顔の意味が少し分かったような気がした。
 ともあれ、先に教室を飛び出した空兎がいないのはおかしい。本棚の後ろにも隠れているのかと思い、覗いてみるが……。

(いない……まさか)

 瞬時に仙太の脳裏にある推測が立った。

「迷ってるな……」

 小さく呟いたが、静かな図書室ではそれが大きく聞こえた気がした。
 とにかく探しに行こうと思った矢先、図書室ではあってはならない、大声が聞こえてきた。

「ちわーす!本、見にきましたーーー!」

 わざわざ姿を確認するまでもない。空兎だ。

 思わずまた、溜息をつきそうになるが、それをあえて飲み込んだ。これが癖になっては適わないからだ。

 程なくして、受付の上級生にやんわり注意された空兎が、ひょこっと仙太の前に顔を出した。

「あれ?せっちんも来たの?調べモノ?」

「まあね……」

 とりあえず色々ツッコミたいが、あまり時間もかけたくないので適当にあしらう事にした。

「そっかー、アタシもなんだ!」

 そう言うなり空兎は、本棚を物色し始めた。

「空兎、何調べるの?」

「えっとね・・・・・・」

 たっぷり間を置いて、空兎は、まるで宝物でも探しているかのような顔で答えた。

「特別なモノ探し!」
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