青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
「えっと・・・・・・」

 卒倒しそうな感覚に見舞われながら仙太は、心の中で空兎の言葉を反復する。

“特別なモノ”

 それを探しに図書室に来たということらしい。
 確かに図書室は資料の宝庫だが、そうそうそんなものないだろうと仙太は思うが、空兎の目は本気だ。

「だってこれだけ本があれば何かあるでしょ! 魔法が使えるようになる本とか、まだ見ぬ宝の地図とか!」

「有名図書館ならまだしも、一高校の図書室に、期待し過ぎじゃない?」

「何言ってんの?特別なモノってのは、こういうマイナーな所にあるってもんだよ!」

「ありえないだろ・・・・・・」

「あ・り・え・る!」

 断言して物色を続ける空兎。
とりあえず、特にすることもない仙太は、色々と見て回ることで空兎が飽きるまでの時間を潰す事とした。

「だいたい一日そこらで簡単に見つかるものじゃないだろうなぁ」

 仮にそれらしきものを見つけても、十中八九インチキだろう。だが、空兎がそれを真に受けて、誰かを魔法の実験体に使ったり、何処か訳のわからない無人島を目指して旅を始めないかが、仙太は、それだけが不安だった。

(そうなった時は全力で止めよう)

 目端で空兎を捉えつつ、心にそう強く誓った。

 そして、30分が経過した頃。それは、そろそろ空兎が飽きる頃かと仙太が思った時だった。
 その空兎が二度目の暴挙に出た。

「せっちん、はっけーーーん!」

 仙太は苦笑いをする受付の上級生にばつ悪そうに一礼すると、常識を知らない娘の方へと駆け寄った。

「空兎、図書室は静かにしろって」

 場所が場所だけに、仙太は怒鳴ることはできないが、それでも強い口調で注意する。
 だが、目的のものを見つけたらしい空兎は目をキラキラさせ、まるで聞いていない様子。

「見てよ、これ!」

 そう言って、空兎が見せた本のタイトルに仙太は唖然とし、思わず呟いた。

「ありえない・・・・・・」

 その言葉に空兎はすぐに反論した。

「ありえるっ!」

 空兎が見つけた本のタイトル。

 それは――――


 “奇跡の起こし方”



      【No1 完】
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