青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
 全く訳がわからない!
 わかるはずもない!

 セレビアの頭は、さらに混乱する。

 なんで? どうして?

 そんな疑問符に押し潰されてしまいそうになる。

 マレストと若い女性が、その狙撃主である若い男を――やはり笑っている――懸命に止めようとするが、虐殺は止まらない。

 いよいよ怖くなってきたセレビアだが、逃げ出したいのに、これだけの虐殺を見せ付けられて体が動いてくれない。

 だが、結果として、それが余計な息づかいと気配をさらけ出すこととなった。

「! セレビアっ!?」

 驚きと「なんでこんなところにいるんだ!」が入り混じったような叫び。多分、後者の方が強いだろう。

 マレストは、狙撃手との交戦など忘れて、セレビアの元へ駆け寄った。
 狙撃手はその背中に向かって、人差し指を突きつけ、赤く煌めく閃光を放った。


 ビュン!


 閃光はマレストの右肺辺りを貫いた。グッと一度は立ち止まりながらも、それでもセレビアに近寄る。

 そして―――

「バカ野郎が……」

 言葉とは裏腹に、自分の顔を見せないよう、優しくセレビアを抱き締める。

「マ……レ、ス……」

 何が起きたのか理解できず、とりあえず前だけ見ている。少し離れた場所ではあの狙撃手と若い女性が交戦しているがそんなことはどうでもよかった。


 自分のせいでマレストが隙を作ってしまった。


 化け物染みて強かったあのマレストがこうもあっさり……。

 自分があの時、妙な恐怖心……いや、それ以前に事前にもっと情報を仕入れていれば或いは……いや、それ以前に―――

 自責の念が自責の念を生み、思考の袋小路に陥らせる。

 精神が崩壊しかけるセレビアの金髪を、マレストがそっと撫でる。

 目に正気が戻った。
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