青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
 一部始終を見ていたあの女性曰く、「これは禁忌……この中でマレストは永久の時を刻まなければならない」とのこと。

 呼び捨てにする当たり、この女性もただの関係ではないのだろう、言った後、しゃくりあげて泣いてしまった。

 あの男はどうしたのだろうか?
 姿が見えないあたり倒したのだろうか?


 …………でも

 やはり、というべきか

 師であるマレストが一番の気掛かりだった―――。

「マレスト……」

 その心臓は脈動しているのだろうが、すでに暖かみがない。見掛けの氷のように冷たい。

 これが禁忌を犯した者の末路というのだろうか?

 永久に溶けることのない痛みを味わい、永久に溶けることのない時間を刻む。

「マレスト……!」

 セレビアは、師の名を叫ぶ。

 何度も、何度も!

 炎の弾丸でさえ、何度も、何度も撃ち放った。

 マレストを溶かそうと何度も、何度もイメージしながら………。
 でも、叶わなかった。

 禁忌による絶対零度はセレビアの炎なんか通用しない。

 そう、“奇跡”でも起きない限りは………


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 後から分かったことだが、あの狙撃手も同じ禁忌を犯していた。

 “永遠の命”

 だからマレストも禁忌を犯す必要があった。存在そのものを抹消するために。

 セレビアは、マレストが何故禁忌を犯す必要があったのか、それが分かれば充分だった。
 今のセレビアにはマレストから受け継がれた眼鏡がある。あの若い女性が預かり、セレビアに渡してくれたのだ。
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