青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
 不敵に笑うハルナはどう見てもまともには見えない。その場にいる誰もが心の中で思ったことだ。
黙っているのをいい事にハルナはさらに捲くし立てる。

「信じる、信じないは勝手だけどね。この世は悪に侵されているわ! そんな悪から人々を守るために───」

 その時だった。

「またですか、ハルナ」

 誰かの声と共に、ハルナの首根っこが吊り上げられる。
 声の主は、見舞いに来たハルナの兄、緋上ジョーだ。

「だってぇ、お兄ちゃん~」

「言い訳はいいです。皆さん、すみません。さぁ、帰りますよ、ハルナ」

 ひとまずジョーは、その場にいる人達に頭を下げ、足早にその場を後にした。
 そして、戻った先はハルナの病室である個室。
 そこにある全ての設備が専用という贅沢な空間に引き戻されたハルナの表情に、先ほどまでの明るさはない。

「駄目じゃないか、おとなしくしてないと。ただでさえ良くない状況なんだから」

 ジョーが猫を置くようにハルナをベッドに座らせるなり、彼女は精一杯の膨れっ面をした。

「だぁって暇なんだもん!」

「暇でも駄目です」

「むぅ! お兄ちゃんのドケチ!」

 断固として譲らない様子のジョーにハルナはふて寝で反抗した。
「やれやれ……」とぼやきながらもジョーは、先ほどから手に持っていたビニール袋を探って、ハルナの大好物である甘党必須アイテムを取り出した。

「売店でプリン買ってきたんですけど、食べます?」

「食べる~!」

 先ほどまでの不機嫌ぶりが嘘のような笑顔で跳ね起きたハルナに、ジョーは苦笑せざるを得なかった。

 しかし「ありがとっ!」と、はちきれんばかりの笑顔を見せてくれる妹が可愛く、いとおしかった。

 だからこそ認めたくなかった。

 目の前にあるこの笑顔が
 永くは続かないということを………。
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