青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
そして、それは呆気ないほど簡単に見つかった。
「………大きすぎですね」
すぐにハルナのものだとわかった。
配布された色つきの短冊ではなく、A4サイズの大学ノートを一枚破ったものだから。
なにより、その願いが彼女らしいものだから。
『私は七夕なんか信じない! 願い事を叶えてくれるなんてウソだ! けど一生に一度の願いくらいなら叶えてよね!
ヒーローに会わせて!!』
苦笑するやら、呆れるやら。だが、不思議なことにジョーに涙は出てこなかった。
誰もいない薄暗いこの場所でハルナは何を思ってこれを書いたのか?
文字が震えている所を見ると、痙攣で幾度かマジックペンを落としたのだろうか?
最後の「ヒーローに会わせて!!」の部分が大きく、ほぼ殴り書きになっているあたり、よっぽど強い想いが込められているのだとわかる。
「そこまでして会いたいんですね………」
誰にも気付かれず、一人きりの車椅子で……。
会わせてあげよう。
ごく自然にそう思った。
簡単なことだ。ハルナの前で自分が変身すればいいことなのだから。
(……ハルナ、会わせてあげますよ)
今までに勝手に決めていた禁が嘘のように消えて───強い決心に上書きされていく。
………………
…………
……
「……ぁ、お兄ちゃん………」
酸素マスクをつけたハルナはいつもよりも弱って見えるが、ジョーを見つめるその目は実に輝いていた。
「気がついたようですね。気分はどうですか?」
「えっと……気分はイキゴのショートケーキっかな?」
「食欲があってなによりです」
くすり、とジョーが微笑むとハルナも釣られて笑った。
それから、少し沈黙が流れてから切り出したのはジョーからだった。
「ハルナ、ヒーローに会いたいですか?」
「え……? 会える……の?」
いざ、本当の事となると信じられないのか、目を丸くするハルナ。ジョーは変わらずの笑みで「えぇ」と肯定する。
「実は今まで隠していましたが、僕がヒーローなんですよ」
「えぇー」
ハルナは笑っている。当然、疑っている笑いだ。
「………大きすぎですね」
すぐにハルナのものだとわかった。
配布された色つきの短冊ではなく、A4サイズの大学ノートを一枚破ったものだから。
なにより、その願いが彼女らしいものだから。
『私は七夕なんか信じない! 願い事を叶えてくれるなんてウソだ! けど一生に一度の願いくらいなら叶えてよね!
ヒーローに会わせて!!』
苦笑するやら、呆れるやら。だが、不思議なことにジョーに涙は出てこなかった。
誰もいない薄暗いこの場所でハルナは何を思ってこれを書いたのか?
文字が震えている所を見ると、痙攣で幾度かマジックペンを落としたのだろうか?
最後の「ヒーローに会わせて!!」の部分が大きく、ほぼ殴り書きになっているあたり、よっぽど強い想いが込められているのだとわかる。
「そこまでして会いたいんですね………」
誰にも気付かれず、一人きりの車椅子で……。
会わせてあげよう。
ごく自然にそう思った。
簡単なことだ。ハルナの前で自分が変身すればいいことなのだから。
(……ハルナ、会わせてあげますよ)
今までに勝手に決めていた禁が嘘のように消えて───強い決心に上書きされていく。
………………
…………
……
「……ぁ、お兄ちゃん………」
酸素マスクをつけたハルナはいつもよりも弱って見えるが、ジョーを見つめるその目は実に輝いていた。
「気がついたようですね。気分はどうですか?」
「えっと……気分はイキゴのショートケーキっかな?」
「食欲があってなによりです」
くすり、とジョーが微笑むとハルナも釣られて笑った。
それから、少し沈黙が流れてから切り出したのはジョーからだった。
「ハルナ、ヒーローに会いたいですか?」
「え……? 会える……の?」
いざ、本当の事となると信じられないのか、目を丸くするハルナ。ジョーは変わらずの笑みで「えぇ」と肯定する。
「実は今まで隠していましたが、僕がヒーローなんですよ」
「えぇー」
ハルナは笑っている。当然、疑っている笑いだ。