青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
 そんなある日ことだ。
ジョーは、一人の少女と出会う。

 天羽空兎。

 妹と瓜二つの少女で、笑顔も性格も何もかもが似ている。違うのは髪の長さだけだ。
 思わず重ねてしまうほどに。
 
 だからジョーは、誓った。
 変身能力は失ったが、守れなかった妹の分まで空兎を守ろうと。

 ・・・だが、もし“奇跡”を起こしてハルナを生き返すことができたら……。


 ジョーが望むのはそういう“奇跡”である。


§


「おい、いつまで拭いてるんだ?」

 背後より同僚がそう呼びかけてくる。気付けばジョーは目の前のテーブルを何度拭きしていたのだろうというくらいの跡がついている。

「す、すみません!」

 焦った様子でテーブルを片付け始めるジョー。どうやら少しボーッとしていたようだ。

(ハルナ……僕はどうすればいいですか?)


§


 “ハレとケ”

 民俗学や文化人類学的な意味において“ハレ(晴れ)”は年中行事などの非日常を表し、“ケ(褻)”は普段の日常の生活を表している。

 簡単に述べられたクヲンの説明に二人は素直に感心する。意外に博識な面があったとは知らなかったからだ。

「んで、それが何か関係あるの?」

 小首を傾げながら尋ねる空兎に、クヲンは軽く苦笑。

「いや、俺達は冒険しながら色んな奴等と出会ってるだろ? ヒーローや魔法使い……」

「あと天使!」

 空兎の言葉に、クヲンは、ニヤリと笑って「そう!」と指を差す。

「だから、お前らから見てそういった非日常的なモンがここまで揃って“奇跡”を追っかけている……。いや、もうこの状況が“奇跡”かもしれないが、どのみち日常とはかけ離れた非日常……ハレだ」

 ノリが空兎に似ているかと思えば今日はやけに難しいこと言うクヲン。

 空兎はすでに脳が沸騰状態。仙太はなんとかついてはいっているが、何故か湧き上がる底知れない不気味さの方が勝っていた。
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