青空、ハレの日☆奇跡の条件（加筆修正中）

「クヲン、君は一体……」

　その原因たるクヲンを仙太が言及しようとしたが、その矢先に彼は急に態度に変えて、おどけた仕草をみせた。

「わりぃ、変な話ししたな。忘れてくれ！」

　誤魔化すように言っては、残ったパスタを掻き込むクヲン。

　少し部屋に流れる気まずい空気を悟ったのか、今まで空兎の肩に乗っていたキィがピョンと卓袱台の上に飛び移って、その場で「ウキュ♪ウキュ♪」と鳴きながらピョンピョン跳ね始めた。
　
「あは、キィって癒し系だねっ！」

　このこの、とフォークで軽く突つく空兎。その表情に先ほどまでの難しい顔はなく、いつもの明るい笑顔を取り戻していた。

　それを横目で眺めているクヲンの微笑み見て、仙太の胸に何やらチクリとくるものがあったが、不意にその視線が仙太の方へと向けられる。

「せっち、空兎のこと好きだろ？」

「ちょっ！ なっ！？ ゲホッ！ ゴホッ！」

「ん？」

「ウキュ？」

　急にむせた出した仙太に空兎とキィが疑問符をシンクロさせる。話を聞かれなかったのは仙太にとっては幸いだった。

「なんだ図星かよ……。なら、ライバルって奴だな」

「……え？」

　仙太が落ち着いたところで突然のライバル宣言。
　キィはともかく、当事者の空兎は未だ頭上のハテナマークがとれてないようだ。

「ねぇねぇ、何の話？」

「男同士の秘め事だ♪」

　「むぅ～」と頬を膨らませてパスタのヤケ食いに戻った空兎を、クヲンは楽しそうに笑っていたが、仙太はそれが嫌味には見えなかった。
　卓袱台上のキィは、一匹取り残されたかのように跳ねるのを止めて空兎とクヲン、そして時々、仙太の顔を見ていた。

　その時だ。

　ガチャ、と扉を開く音と「ただいまぁ」という沙恵美の声が聞こえてきた。
「あ、叔母さんだ」と空兎は呑気に言ったが、仙太は一瞬遅れて顔面が蒼白になった。

　その原因は卓袱台上の蒼くて丸い物体、キィの存在だ。

「わっ！ か、母さん！ ちょっ、なっ、どっ、どっ、どうして！？」

　一人立ち上がって狼狽する仙太。その場にいる者逹の目からしたら珍妙に見えるかもしれないが本人は必死だ。

　とりあえず問題のキィを掴んでおく。

「ウキュ！？」