青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
「ちっ!」

 舌打ちしながら巧みに箒を操り回避行動。
 しかし、全てを回避することはできず肩に突き刺さる痛みがセレビアの表情を苦悶なものへと変えた。

 だが、肩に刺さった矢のお陰でクヲンの攻撃の正体がわかった。

「なるほど……白矢クヲンとは上手く言ったものね」

 嫌味をたっぷり込めて指先の炎で、肩に刺さった白銀の矢を焼き、矢が当たった衝撃で崩れた箒のバランスを立て直し、スピードを上げた。

 風を切るというよりは、風そのものになったようなスピード。セレビアの全力だ。
 そんな彼女の様子をクヲンは、悠然と見つめた。

「ま、天使といえば弓矢だろ?」

 誰に対して言っているかは不明だが、再び矢で狙いを定めながらセレビアを追うクヲン。
 背後から迫るクヲンを炎の弾丸で狙い撃つセレビア。

 回避すると同時に、また三本の矢で反撃するクヲン。
しかしそれはセレビアに当たる前に、その直前の空間が歪み、矢を全てグニャリと折り曲げた上、失速させてしまった。

「ありゃま、どんな裏技よ?」

「さぁね♪」

 魔法で作った特殊な障壁であることをウィンク一つで誤魔化すセレビア。
すかさず雷を落として反撃するが、やはりかわされてしまう。

 互いに一進一退。

 閃光にも似たクヲンの矢は、セレビアの強固な障壁に阻まれてしまう。

 セレビアも炎で直線、雷で落下の攻撃を絡めるものも、天使の翼はそれをことごとく回避する機動力を持っていた。

「あのバリア、厄介だけど打つ手がないわけじゃない」

 不敵な笑みを零すと、クヲンはスピードを活かして再びセレビアの真上に位置し、そこから次々に矢を放っていく。

 当然、矢は魔法の障壁で全て折れ曲がってしまうが、クヲンの狙いは別にあった。

「……そういうことね」

 セレビアがクヲンの狙いに気づいた。
こう矢継ぎ早に放たれては、セレビアは身動きが取れない。箒での移動は可能だが、攻撃に転じることができないのだ。

「さぁ、どーするよ? 魔法使いさん」

 続けざまに矢を射ながらクヲンは、不敵な笑みを保ち続けるが、その顔はセレビアが脇から“本”を落とした瞬間に変わった。

「あ!」

「んな!」

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