青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
「うっさい!!」

 沈みかけたジョーの心が、空兎の割れんばかりの叫びで呼び起こされた。

「たった一度の……ううん、何度失敗したって、誰かを必死で守ろうって気持ちがあるジョーさんはヒーローなのっ! ヒーロー検定があるなら文句なしの百点満点の合格!! 反論はアタシが許さないっ!」

 空兎が顔を赤くし、息切れも構わずに息継ぎなしに捲し立てる。
そんな空兎に、ジョーは、救われた気分になった。

 だが、灰山は、そんな空兎さえも冷徹に反論する。
 それは、馬鹿にするというよりは、どこか心の叫びに感じられた。

「まだ子供だな……気持ちだけじゃ、現実はどうにもならないんだよ! 守りたくてもな、無力じゃどうにもならないんだよ!」

「反論は許さないったでしょ!!」

 空兎のその一言が切っ掛けに激昂した灰山は、仙太に向けていた銃口を空兎に向けた。即座にジョーが盾になろうと、空兎の前に出ようとするが、それよりも速く───。


 後方より飛来した白銀の矢が、灰山の銃を弾き落とした。


 その場にいる誰もがその光景に思わず膠着し、目を丸くした。
 が、真っ先にこれを好機だと感じたのはジョーだった。

「今のうちです!」

 言うや否や、空兎と倒れている仙太をそれぞれ脇に抱え、その場を立ち去ろうとした。

「ちょっ、ジョーさん! アタシ、まだアイツ蹴ってない!」

「今は仙太くんの手当てが先です!」

 脇でジタバタ暴れている空兎をジョーが一喝。
びっくりした空兎が大人しくなったところでジョーは全速力で駆けた。

 それを本来ならばすぐにでも追いかけたかった灰山だが、絶え間なく飛来してくる白銀の矢に完全に足止めされていた。

 姿見えぬ邪魔者に苛立つ灰山だが、彼はこの正体を知っていた。

(あの天使! 何を考えてる!?)

 ジョー達の姿は、すでに視界から消えていた。
 追跡のためのバイクは、白銀の矢によってタイヤをボロボロにされていた。
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