青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
§
灰山が再度追跡してくる可能性は充分考えられる。
彼は“鍵”……ひいては“神杯”の存在を知り、それを望んでいる者。
しかも、空兎達が今、“鍵”を持っていることを知っており、狙っているのだ。
「厄介なことになりましたね……」
だからジョーは、せめて人目につかない隠れ場所にと選んだのは、街外れにある港の倉庫の中だった。
薄暗く、少し埃っぽいが、とりあえずは落ち着ついて仙太の応急手当くらいはできる場所だ。
とはいえ、ここについて空兎や仙太もジョーの重傷に気付いたのだが、いつもの「大丈夫です。ヒーローですから」という妙に説得力のある笑顔のオマケ付きの言葉で諭されてしまい、ジョーが持っていた救急セットで仙太の治療が行われた。
「すみません、守れなくて……」
仙太の腕の手当てをしながらジョーは呟く。
やはり、仙太の怪我事態は、たいしたことはない。問題はいきなり撃たれたという、精神的部分が大きかったようだが、今はそれも落ち着きつつある。
「いえ、大丈夫ですから……気にしないでください」
仙太の表情は、もう柔らかいものになっている。
それを見て、ジョーは少し安心した。
「そうそう! 気にすることないってジョーさん! たいした怪我じゃないもん! 唾つけときゃ治るよ!」
ジョーの側でアシスタントと化していた空兎がそう仙太のフォローを後押しするが、後半の内容が少し余計だった。
だが、仙太はあえて突っ込まず苦笑いだけに留めておく。
傷口を消毒し、ガーゼを当てて包帯で巻いていくと、仙太の手当ては完了した。
ジョーは救急セットを手早く片付けてバックにしまい、それを持って立ち上がると、その拍子に開いていたチャックから何かが溢れ落ちた。
それは、あのヒーローのお面だった。
空兎がそれを拾う。
「はい、ジョーさん!」
笑顔で手渡すその瞬間、ジョーは、一瞬だけ。
(ハルナ……)
よく似た二人の笑みが重なって見え……すぐにハルナの方が消えた。
静かに、安らかな微笑を浮かべながらジョーは、空兎からお面を受け取った。
「ありがとうございます」
空兎に礼を述べた時、ジョーは守りたいと思った。
この笑顔を……。
灰山が再度追跡してくる可能性は充分考えられる。
彼は“鍵”……ひいては“神杯”の存在を知り、それを望んでいる者。
しかも、空兎達が今、“鍵”を持っていることを知っており、狙っているのだ。
「厄介なことになりましたね……」
だからジョーは、せめて人目につかない隠れ場所にと選んだのは、街外れにある港の倉庫の中だった。
薄暗く、少し埃っぽいが、とりあえずは落ち着ついて仙太の応急手当くらいはできる場所だ。
とはいえ、ここについて空兎や仙太もジョーの重傷に気付いたのだが、いつもの「大丈夫です。ヒーローですから」という妙に説得力のある笑顔のオマケ付きの言葉で諭されてしまい、ジョーが持っていた救急セットで仙太の治療が行われた。
「すみません、守れなくて……」
仙太の腕の手当てをしながらジョーは呟く。
やはり、仙太の怪我事態は、たいしたことはない。問題はいきなり撃たれたという、精神的部分が大きかったようだが、今はそれも落ち着きつつある。
「いえ、大丈夫ですから……気にしないでください」
仙太の表情は、もう柔らかいものになっている。
それを見て、ジョーは少し安心した。
「そうそう! 気にすることないってジョーさん! たいした怪我じゃないもん! 唾つけときゃ治るよ!」
ジョーの側でアシスタントと化していた空兎がそう仙太のフォローを後押しするが、後半の内容が少し余計だった。
だが、仙太はあえて突っ込まず苦笑いだけに留めておく。
傷口を消毒し、ガーゼを当てて包帯で巻いていくと、仙太の手当ては完了した。
ジョーは救急セットを手早く片付けてバックにしまい、それを持って立ち上がると、その拍子に開いていたチャックから何かが溢れ落ちた。
それは、あのヒーローのお面だった。
空兎がそれを拾う。
「はい、ジョーさん!」
笑顔で手渡すその瞬間、ジョーは、一瞬だけ。
(ハルナ……)
よく似た二人の笑みが重なって見え……すぐにハルナの方が消えた。
静かに、安らかな微笑を浮かべながらジョーは、空兎からお面を受け取った。
「ありがとうございます」
空兎に礼を述べた時、ジョーは守りたいと思った。
この笑顔を……。