青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
「それにしてもさっきの矢、一体何なんだろうね?」

 空兎の険しい顔で始まった話に、ジョーは現実に引き戻された。
 先程、あわや空兎が撃たれるというところで飛来してきた白銀の矢。
 結果的に空兎達を救ってくれた形となったあの矢を射たのは何者だろうか?

 三人共、それがずっと気になっていた。

「確かに謎ですね。しかもあの精密な狙いを連続で……中々できるものではありません」

 改めて射手の腕前にジョーは唸る。
 そこで仙太が不安そうに呟いた。

「敵……かな?」

 震えて出た声は、まだ若干、恐怖を引きずっているようにも感じられたが、その実、正体が掴めない不気味さが、仙太には気持ち悪かったのだ。

 だが、空兎が爽快にそれを吹き飛ばす。

「味方っしょ! 味方! じゃなきゃタイミングバッチリ過ぎだって! うん!」

 いつもの満足そうな笑みで自己解決して話を強引に終わらせようとする。

(単純……)

 そう仙太は思ったが、それを口に出すと睨まれそうなのでやめておいた。
 どのみち敵味方わからないのであれば、まだ味方と考えた方が暗い気分にならなくてすむ。
 今は、この空兎の笑顔に合わせておくべきだと直感したのだ。

(なんか、空兎と一緒にいるとこのペースに呑まれちゃうんだよな……)

 仙太がそんなことを思いながら苦笑していると、その空兎がギロリと睨んできた。

「せっちん、今、アタシのこと『単純っコ』って思ったでしょ!」

 女の勘は鋭い。仙太の心臓がビクンと跳ね上がった。

「ちょっ! いやっ! それは、一つ前というか、なんというか………あ………」

 自ら墓穴を掘ってしまったことに仙太自身が気付いた時には、空兎が仙太にお決まりの首振りシェイク攻撃を見舞っていた。

 「まぁまぁそれくらいに」と微笑を溢しながら空兎を宥めるジョー。

 何気ないやり取りを交わしながら三人とも、それまで張りつめていた緊張感がほんの少し和らいだ気がした。
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