青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
「そういえば、お二人は僕に何か用事があったようですが?」

 緊張の連続で忘れかけていたことを思い出したジョーがそのことに触れる。

 「あ!」と、こちらは完全に忘れていた空兎が思い出して、仙太へのシェイク攻撃を終了させて、ジョーに振り返る。

「そうそう! 聞いてよジョーさん! 学校がもぅ大っっっ変なのっ! 図書室がバキョーン! てな感じでウギャー! ってなって、“本”がポワ〜ンってなって………」

「えっと、すみません空兎ちゃん、ストップです………仙太くん、お願いします」

 さしものジョーも苦笑い。「待て」の合図で空兎の言葉を遮ると、仙太に説明役を任せた。

「……はい」

 シェイク攻撃で少し頭がクラクラするが、今の空兎の説明で理解しろというのが無理な話だ。仕方なく仙太が説明役を引き継ぐ。
 空兎は不満顔だが、ジョーの言うことには基本的には素直だった。

「それが………」

 その言葉で切り出された仙太の説明。
 自分達の学校の図書室に大穴が開いたこと、そして“奇跡の起こし方”の本がなくなっていたことを話した。

 さらに昨日、クヲンが家に来て魔法使い──セレビアに気を付けた方が良いということを聞いて一連の事件はセレビアの仕業ではないかという予想までジョーに話した。

「確かに可能性はゼロではありませんが、確信もないのに疑うのはよくありませんね」

「ですよね……」

 ジョーにたしなめられたように、仙太の声のトーンが落ちる。
 空兎も一度は疑っただけに「あはは……」と誤魔化し笑顔を浮かべている。

 だが、そこでジョーの声のトーンも変わって「でも」と口を開く。

「昨日、そのセレビアさんが店の方にみえられて、“鍵”を渡してくれるよう、空兎ちゃんを説得して欲しいと頼まれました」

「え?」

 二人が同時に驚く。

「もちろんお断りしました。理由を話して頂けなかったので……でも、あの時のセレビアさんは、切羽詰まったご様子に見えましたね」

 ジョーの言葉に二人は黙ったままだった。

 やはりセレビアは、最初から“神杯”に執念を燃やしていただけのことはある。
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