青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
「空兎………」

 何か言いたげな仙太が空兎を見ると、彼女は口元をギュッと引き結んで、やや俯きになっていた。

「……セレビアさんの詮索はここまでにしましょう。事情はわかりました。何にせよ一連の事件が“神杯”に関係していることは確かです。微力ですが、僕で良ければ力になりましょう」

「やったぁ! さっすがヒーロー!」

「ウキュー♪」

 ジョーの快い協力に、空兎は顔を上げると同時に喜びの声を上げた。
 キィも嬉しそうに鳴いたがこれまでの経緯が理解できた上での鳴き声かは不明だ。

 そして、それも分からぬままに話は次に進む。

「実は僕もあの追跡者について、いくらか情報を手に入れることができました」

「ホント! っで、アイツ! どこのどちらさん!?」

 今にも顔がくっつきそうな勢いで空兎がジョーに身を乗り出す。
 仙太は、その状態ではさすがにジョーが話し辛そうなのを察し、すぐに空兎の制服の襟首を引っ張って引き離した。

 その際に「ぐぇっ」と空兎が奇妙な声を発したが気にされずに話は進められる。

「彼はどうやら単独で行動しているわけではなさそうですね。携帯電話で誰かと………そう、“ボス”とか言っていましたね」

「ボス!?」

 その単語に興奮した空兎が叫ぶ。少し楽しそうなその姿に仙太は呆れた視線を送った。

「どうやら僕の抹殺が任務だったようですね。それから何やら長いこと話していましたね」

「何をです?」

 仙太が尋ねると、ジョーはそこで一呼吸置き、その時の状況を思い出しながら再び言葉を紡ぐ。

「『彼女の様子はどうですか?』とか、その後、えらいご立腹のご様子でしたから良い返事ではなかったのでしょう」

「彼女の様子?」

 異口同音にオウム返しに訊く空兎と仙太に、たちまちジョーは困り顔になった。

「いえ、さすがにそこまではわかりませんでした」

「そっかぁ、うん! でも、これでアイツのことが少しわかったわ! ナイス! ジョーさん!」

 真っ直ぐピースサインを向けてジョーを称える空兎。ジョーは素直に礼を述べた。
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