青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
 人間、いきなり突拍子もない事態に陥ると、リアクションができない時がある。
 コンビニ強盗に巻き込まれた仙太や他の客、そして店員は一瞬、何が起きたのか理解できず、時間が止まったかのように固まってしまった。

 だが、突然やってきた二人のコンビニ強盗が天井に向けて、持っている拳銃を発砲したとき、一同は全て理解した。

 女性客二人は悲鳴を上げ、ある男性客は腰を抜かしてしまった。仙太も完全に狼狽している。

「おとなしくしろ!」

 ドラマなどで聞き慣れたお決まりの脅し文句も、実際に聞くと恐ろしく、客や店員は素直に従った。

 強盗の二人の内、一人。
天井に向けて発砲した口周りにたっぷり髭を生やした男が客達の方に拳銃をちらつかせて床に這いつくばるよう指示し、客達は全員従った。

 もちろん仙太もその中にいるうちの一人だ。

 客達全員がおとなしくなったのを見計らって強盗のもう一人、サングラスをかけた男が店員に拳銃を向けて脅しかけた。

「これに店にあるだけの金をつめろ」

 髭男よりは落ち着いた口調ながらも迫力があり、黒いボストンバックを店員に投げ付けた。
 アルバイトであろう、その若い男性店員はパニックになりながらも強盗の要求に従い、レジの金をつめ始める。

 その間、サングラス男は慣れた手際でカウンターを乗り越えて、店の奥にいたもう一人の店員を呼び寄せた。

 その店員は男性店員と同年齢くらいの女性だった。
サングラス男は、彼女の背後に回りこみ、女性店員の両手をジャンパーのポケットから取り出したロープで、後ろに縛り、さらにこめかみに拳銃を突き付けた。

 見事なまでの人質スタイルの完成だ。

(警察来たら立てこもるつもりか・・・・・・)

 コンビニだ。食料はそれこそ売るほどある。持久戦にはもってこいということだ。
 そう考えて、この二人は白昼堂々こんなことをしたのだろうと、仙太は推測した。

 張り詰めた空気が、店内に充満する。

 そんな時、その空気をまるで感じていない者が、トイレから出てきた。

「いやぁ〜スッキリ! パンクするかと思ったよ~!」

 トイレから出てきた空兎はたった一言で、その場にいる全員のキョトンとした視線を集めた。
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