青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
「え?……なに?」

 ただならぬ気配に気付いてか、空兎が尋ねてきたが、仙太はとても説明できる気分ではなかった。

 息切れしながらも、ジョーが言葉を続ける。

「恐らく皆さん……先程の追跡者と同じ一味と考えるのが………自然でしょうね。まぁ、全く別のの一味という可能性は否めませんが……」

「笑えませんよ、それ……」

 小さく笑ったジョーに、仙太が真顔で突っ込む。この状況にも関わらずいつもと変わらない調子で言えたことに正直驚いた。

 ジョーはまた小さく笑った。

「その調子です……さっき僕が言ったこと、頼みますよ」

「え?」

「空兎ちゃんを守ってあげてください」

 微笑を浮かべたジョーの横顔は、仙太に全てを託し、覚悟を決めたような表情だった。

 その微笑を見た瞬間、仙太は空兎の手を引っ張って走り出していた。

「うわっ!せっちん!いたっ!ちょっ……」

 必死で抵抗する空兎に構わず無理矢理引っ張っていく仙太。

 徐々にだが駅方面へ抜けていく二人を見てジョーは安心した様子を見せた。

「………これで、ひと安心だな」

 待っていたかのように老人が口を開く。ジョーは老人の方へ向き直ると、その微笑を浮かべたまま「えぇ」と返事をした。

 それから自分の疑問を口にする。

「随分と……あの二人をあっさり見逃すのですね?あなた方の狙いは空兎ちゃんが持っている“鍵”じゃなかったのですか?」

「……………」

「答え辛いようでしたら質問を変えましょう。多分ですが、あなたは僕をバイクで追ってきた方だ……違いますか?」

 半ば確信めいてジョーが言うと、老人は自らを被っていた偽りの顔を剥いだ。
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