青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
 その下から表れたのは灰山だった。

「よくわかったな。こいつは組織が作った特注品なんだけどな」

 言いながら精巧な老人のマスクを放る。中のボイスチェンジャー機能が地面に落ちると同時にガチャッと音を立てて壊れた。

「なに、ヒーローの勘です」

「非常識な勘だな」

 してやったりというジョーの笑みに灰山は唖然とした。

「正確には刺された瞬間の殺気です……あなたが本気で空兎ちゃんを撃とうとした時に感じた殺気と似ていたのでピンときました」

「なるほどね」

 勘よりかはマシな理由に灰山は納得した。

 だが、まだジョーの質問は終わったわけではない。

「さて、正体も明かして頂けたところで最初の質問にお答えしてもらえるとありがたいのですが」

 あくまでも丁寧な物言いに、灰山は毒気を抜かれたかのように鼻息を抜いた。

「まぁ、それくらいなら問題ないか……天羽空兎とか言ったか?あのコ。……あのコは条件に必要とわかったんでな」

「条件?」

「あぁ、“奇跡の条件”だ」

 灰山がその言葉を口走った瞬間───

 その場に突風が吹き込んだ。

「ちょっと喋り過ぎかな?」

 背後より聞こえた別の声にジョーが振り返ると同時に、白銀の矢がジョーの胸を貫いた。

「………君は!」

 目の前にいる銀髪の少年にジョーは驚愕に目を丸くし、仰向けに倒れていく。

 程なくしてその目は虚しく閉じられていった。


 それを銀髪の少年───白銀の弓を構えた天使・クヲンが切なそうな視線で見下ろしていた。

「悪いな、ヒーローさん」

 クヲンのその呟きは、ジョーの耳には届かなかった。

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