青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
一方、仙太に手を引っ張られて、無理矢理走らされている空兎。
初めはジョーが気掛かりで懸命に抵抗していたが、仙太のただならぬ迫力に圧されて、戸惑いながらもその足を仙太に合わせつつあった。
駅に入ってしまえば人も増え、あの気持ち悪い空間を抜け出せた気に仙太はなった。
「ねぇ、どこ………行くの?」
不意にそう訊いてきた空兎。だが、仙太は黙っている。
「ねぇ!」
空兎が声を強めても、仙太は黙ったままひたすら足を動かしている。
二人が駅の階段に差し掛かり、それを登り始めた頃、空兎の眉がキリッとつり上がって、仙太の手を乱暴に振り払った。
「ちゃんと話してよ!せっちん!」
悲鳴にも似たその声に周りの人々が何事かと好奇の視線を向ける。特に空兎はジョーの血が顔や制服に付着しているので、より目を惹く。
背中を向けたまま仙太は立ち止まると、空兎はその隙に踵を返す。
その手が、再び強く仙太に掴まれる。
「……損な性格だよな、僕って」
「はぁ?」
「頼まれたら、嫌って言えないんだよ!」
語尾と同時にまた空兎を引っ張る仙太。階段を転びそうになりながらも登っていき、周囲の注目の目も無視して通路を走り、反対側の階段を駆け降りた。
(これでいいんでしょ……! 緋上さん!)
駅を挟んだ向こう側にいるヒーローに向けて、仙太は心の中で叫んだ。
そして空兎は、仙太に引っ張られながら小さく、だか、仙太の耳に届くくらいの大きさで嗚咽を漏らしていた。
悔しくて───
訳がわからなくて───
何も言ってくれない仙太が
憎たらしいけど───
必死な気持ちが伝わるから
憎みきれない───
初めはジョーが気掛かりで懸命に抵抗していたが、仙太のただならぬ迫力に圧されて、戸惑いながらもその足を仙太に合わせつつあった。
駅に入ってしまえば人も増え、あの気持ち悪い空間を抜け出せた気に仙太はなった。
「ねぇ、どこ………行くの?」
不意にそう訊いてきた空兎。だが、仙太は黙っている。
「ねぇ!」
空兎が声を強めても、仙太は黙ったままひたすら足を動かしている。
二人が駅の階段に差し掛かり、それを登り始めた頃、空兎の眉がキリッとつり上がって、仙太の手を乱暴に振り払った。
「ちゃんと話してよ!せっちん!」
悲鳴にも似たその声に周りの人々が何事かと好奇の視線を向ける。特に空兎はジョーの血が顔や制服に付着しているので、より目を惹く。
背中を向けたまま仙太は立ち止まると、空兎はその隙に踵を返す。
その手が、再び強く仙太に掴まれる。
「……損な性格だよな、僕って」
「はぁ?」
「頼まれたら、嫌って言えないんだよ!」
語尾と同時にまた空兎を引っ張る仙太。階段を転びそうになりながらも登っていき、周囲の注目の目も無視して通路を走り、反対側の階段を駆け降りた。
(これでいいんでしょ……! 緋上さん!)
駅を挟んだ向こう側にいるヒーローに向けて、仙太は心の中で叫んだ。
そして空兎は、仙太に引っ張られながら小さく、だか、仙太の耳に届くくらいの大きさで嗚咽を漏らしていた。
悔しくて───
訳がわからなくて───
何も言ってくれない仙太が
憎たらしいけど───
必死な気持ちが伝わるから
憎みきれない───