青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
「なんだてめぇはぁっ!」

 髭男は怒鳴りながら、大股で空兎に近づくなりその頭に拳銃を突き付けた。
 その光景に仙太は肝を冷やすものの、空兎はというと拳銃を突き付けられているにも関わらず、状況が理解できていないかのようにポケーっ、とつっ立っている。

 たが、次の瞬間、やっと状況を呑み込んだのか、眉を釣り上げて怒鳴った。

「なに!? いきなり何!? 訳分かんない!」

「うるせぇっ! 黙れっ! これが見えねぇのか!?」

「見える! でも、恐くない!」

(僕は君のその度胸が恐い・・・・・・)

 自分に拳銃を突き付けている強盗に怖気づくどころか、噛み付いていく空兎に、仙太は内心でそう呟いた。

 髭男は完全に激昂し顔が真っ赤だ。あれでは、いつ引き金を引いてもおかしくない。

 まさに一触即発。

 だが、突如割って入ってきた一言が、空兎を救った。

「あ、あの・・・・・・・とりあえず静かにしませんか? あちらの方達が、すっかり怯えてしまって・・・・・・」

 二人のすぐ傍、俯せ状態で、若干、弱々しい口調でそう言ってきたのは、二十代前半くらいの男性客だ。強盗達が天井に向けて発砲したとき、腰を抜かした人でもある。

 彼が指した「あちらの方」というのは、最初に悲鳴を上げた二人組の女性客のことだった。
 確かに髭男と空兎のやり取りのせいで、すっかり怯え切っているようだ。一人はすでにむせび泣いている。その様子を見て、空兎が突然押し黙ったのに仙太は気付いた。

(あれ? もしかして気遣ってるのか?)

 再会して一ヵ月も経ってないが、嫌というほど彼女の我儘、常識外れぶりを実感している仙太にとって、これは意外なことだった。

 果敢にも訴えかけきたあの男性客に「うるさいっ! 今コイツと話してんのはアタシよ!」くらい平気で言い返すのかと思ったからだ。

むしろ、今は髭男のほうが喧しい。
 わざわざ脅すような口調で、若い男性客に詰め寄る。

「勝手にしゃべんじゃねぇよ!」

「すすす、すいません! すいません!」

 髭男に拳銃を突き付けられ、裏返った声でペコペコする男性客。
 一触即発の状況は、対象が変わっただけで続いている。


 そこへ・・・・・・
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