青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
「おい! それくらいにしとけ! まだサツは来てない。余計な面倒はかけるな!」

 髭男ほど荒々しくはないが、迫力のある怒声でサングラス男が怒鳴った。
途端に髭男がおとなしくなる。どうやら二人の仲ではサングラス男の方が立場上のようだ。

 一瞬の静寂後、サングラス男の口は、空兎へと向けられる。

「おい、お前。ちょっとでも空気読めるんだったら黙って他の客みたいにおとなしくしろ」

 グッと女性店員のこめかみに銃口を押しつけて、空兎に見せ付ける。
 空兎はそれを見て、すぐに俯せになった。表情は歯痒そうに歪んでいる。

 空兎がおとなしくなり、髭男は拳銃を客達にちらつかせながら、最初の立ち位置だった店の出入口の方へと戻っていった。

 どうにか血が流れることは間逃れたが、状況が好転したわけではない。
 コンビニの外でも、このただならぬ状況にギャラリーが集まっている。警察が来るのは時間の問題だろう。

 そうなると強盗達は立て籠もりを始めてしまうかもしれない。

(そうなる前になんとかしたいよなぁ)

 そう思う仙太だが、自分の力だけでなんとかできる状況ではないことは分かっている。
 出入口付近には髭男だけなので、危険だがやろうと思えば自分一人だけこの場を逃げ出そうと思えばできないこともないかもしれない。

だが、仙太にその気は全くない。

 そんなことをすれば他の客や人質になっている女性店員に危害が及ぶかもしれない上、なにより仙太は危なっかしい空兎を見捨てておけないのだ。
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