青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
(まぁ・・・・・・一応、従妹だしな)

 そう思いながら、チラッと空兎の方を見る。
彼女は俯せ状態のまま膨れっ面でいた。

(自分でどうにかできないとなると・・・・・・あとは何か奇跡でも起こることを祈るしかないのかな?)

 そう、例えば先程立ち読みした漫画のようなヒーローが颯爽と現れて、強盗を倒してくれるような。

 でも、そんな都合の良いことは漫画だから許されることであって、現実はそうはいかないことを仙太は分かっている。

 分かっているからこそ目を疑った。

 空兎の横にいるあの若い男性客。その人が信じられない行動に出ていた。

 漫画に出てくるような正義のヒーロー・・・・・・・・・・・・のお面を突如、被りだしたのだ。そう、祭りの縁日などで売られているような安っぽいヒーローのお面だ。

 全く以て場違い。先の空兎よりも遥かに場の空気を読んでいない行動。

 しかも仙太の視線に気付いたのか、その男性客は仙太に向かって力強く親指を立てた。
 まるで「俺に任せろ!」とでも言っているかのように。

「・・・・・・・・・・・・」

 口にでも、心の中でも、唯一、この奇妙な光景に気付いた仙太に出てくる言葉は全くなかった。

 言葉こそ出ないものの、この状況下で何かしでかそうとする若い男性客=ヒーロー男に、仙太は期待どころか、嫌な予感しかしない。

一瞬にしてこの事件の最悪の結末が脳裏に描かれた。
それは、すなわち。

『白昼のコンビニ強盗にて男性客が乱心。犯人逆上で死傷者多数』

 是が非でもそんな結末は避けたい。
仙太はヒーロー男に向かって首を小刻みに振り始めた。「余計なことはしないでください!」の合図だ。

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