青空、ハレの日☆奇跡の条件（加筆修正中）
「黙ってろっ！クソ女！」

「黙ってろっ！ クソ女！」

「クソって言うなぁ！ クソ髭！」

　クソ発言をクソ発言で返すあたり、空兎らしい強気の態度だが、これが髭男に殺意を芽生えさせる決定打になってしまった。

「もう、ゆるさねぇ！」

　髭男の矛先が、仙太から空兎に変わった。

　髭男が腕ずくで仙太を横に押し退けると、その勢いで仙太は商品棚ごと倒れていく。

　だが、髭男はそんなことなど構わない。仲間のサングラス男が制止するよう叫んでも、無視して、怒り顔の中に薄ら笑みを浮かべながら空兎に銃口を向けた。


　そして、容赦なく発砲した。


　渇いた銃声が店内中に響き渡る。

金をボストンバックに詰めていた男性店員が銃声に驚いて、派手にバックと小銭を落とした。

　女性客の二人は、悲鳴を上げる間もなく、一人が伏せたままガタガタ振るえもう一人がそれを守るかのように覆い被さっている。

　サングラス男はといえば、髭男の早まった行動に怒りと焦りの表情を浮かべており、彼の腕の中で人質となっている女性店員はその光景に、ただただ目を見開いていた。

　そして、商品棚と一緒に倒れた仙太は、銃声が鳴り響いたその直後、空兎の方を向いて見た光景に目を丸くした。

それは、彼が一瞬のうちに思い描いていた悲劇とは少し違っていたものだったからだ。

「ヒーローだ･･････」

　自然と仙太の口からそんな言葉が出た。
　空兎と髭男の間に、あのヒーロー男がいたからだ。両手を広げ、髭男の凶弾から空兎の盾となっていたのだ。

　空兎も、そして撃った張本人たる髭男もこの予想外の事態に驚いているようだ。

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