青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
「あ〜……オシッコしたくなってきたかも」

「頼むから、漏らすのだけは勘弁してくれ」

 空兎ならやりかねないと思って、仙太があらかじめ言っておく。そんな二人のやり取りを見て、クヲンは笑いながら告げた。

「このまま俺のマンション行こうか。しばらくは──」

 その時、前方に見えるビル群の一角にチラつく光。

 それを確認したのは、クヲンだけだった。

「ん? クヲンくん、どうしたの?」

 空兎は、クヲンの言葉が途中で途切れたのが気になり、顔を伺う。曇り空のせいか、表情は変わらないのに、いつもより少し暗く見えた。

「なんでもねぇよ……」

 声のトーンも心なしか低い気がする。空兎がそう思った時、風に乗って、渇いた銃声が聴こえてきた。

「っう!」

 途端にクヲンの顔が苦痛に歪み、飛行体勢が崩れる。

 しっかりと繋がれていた三人の腕や手は、あっけなく離れていき、それぞれが宙を舞った。

「ウソ………」

「うぁ……」

 空兎は呆然とした表情、仙太は恐怖にひきつった表情でそれぞれ落下をし始める。

「………ちっ」

 クヲンは小さく舌打ちすると、体勢を立て直し、翼を羽ばたかせて、まずは空兎を、抱きかかえて救う。

「せっちんも!」

「わかってる!」

 しかし、今のクヲンは、空兎をお姫様抱っこの形で抱えているため、仙太に手を伸ばすことはできない。

「アタシが掴むから!」

 咄嗟に空兎が先程と同じように手を伸ばして助けることを決めた。

 ぐんぐんとクヲンが仙太に近づき、空兎の手が仙太の手に伸びる。

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