青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
 そしてこの予想外の事態を起こしたヒーロー男は、顔はお面で見えないが、銃で撃たれたのだ。ヨロヨロとよろめきながら空兎を避けて、後方の飲料コーナーに背中をぶつけた後、力尽きかのように、その場に尻餅をついた。撃たれた腹部からは血が滲み出て、服にジワジワと広がっていく。

 店内だけでなく、ギャラリーもその光景に茫然とする者、目を背ける者など反応は様々だ。

 そして、空兎はというと、ヒーロー男が動かなくなったのを見て、キッと髭男を睨み、大きく一歩、左足を踏み込み、

 ダンッという強い足音が響く以外は何も叫ばず、無言でその髭男の顔面に右足をめり込ませた。足の甲ではなく、裏で、容赦なく、思いっきり蹴りというよりは、踏むという感覚で。

 髭男はその強烈なキックに前歯を数本折られ、鼻から血を流しながら仰向けに倒れていった。

 意識は完全に飛んでしまっているようだ。

 瞬間、店内が静寂に包まれた。
 空兎の行動はそれだけ衝撃的で、店内だけ時間が止まったかのように皆、唖然、茫然としている。

 この静止したかのような時間は空兎の一言で、再び動きだした。

「・・・・・・・・・あ」

 ハッと我に返ったような空兎の様子に、その場の誰もが疑問符を浮かべた。

「うわ! 嘘!? マジ・・・・・・・・・・?」

 まるで自分が何をやったのか、わかっていないような見事な狼狽ぶり。
 それを一番近くで見ている仙太は不安に駆り立てられ、立ち上がるなり空兎に尋ねた。

「空兎、まさかとは思うけど・・・・・・。思わずやっちゃったとかいう事じゃ・・・・・・ないよな?」

 半ば祈るかのような物言いの仙太に、空兎はビクッと背中を震わせた後、少し間を置いて、左手を腰に当て、右手はVサインを作って勝ち誇ったかのような笑顔で声を上げた。

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