青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
「悪魔が誰かを不幸にするには、その相手に口づけをすることなんです」

「なんか、随分と人間味溢れてるっていうか、ロマンティックだね」

「そうなんです。諸説は色々あるんですが、その一つに、悪魔は人間が死んで、転生した一つの形じゃないかというものです。だから、本能的な習性や記憶が根本に残っているそうなんです」

「本能的な……習性?」

 空兎がその部分に触れると、マリィは一呼吸置いた。

「………今思えば、あの時、私がクヲンさんにキスしてしまったのは、私に残っていた人間の本能的な部分が原因だったのかもしれません。クヲンさんからプレゼント貰ったり、暖かい言葉貰って……凄く…………嬉しかったから……」

「……うん、クヲンくん、優しいもん………なんか、わかるな」

「………でも、そのせいでクヲンさんは天使としての本来の力を失ってしまいました。本来ならあるはずの頭上の輪がなくなっているのも、きっとそのせいです」

「え? 不幸にする力って、そういうこともできるの!?」

「いえ、天使の方に与えるのは初めてだったので……でも、あの時は、クヲンさんは、ご自分の天使の力で、私の力で不幸にしてしまった人間を幸せにしようと考えていましたから、それをやろうとした矢先に力を失ったのは、不幸ということでしょうね」

「あぁ………そういうことか………」

 納得した空兎が声のトーンを落とすと、それまで俯き加減だったマリィが空兎の目を真っ直ぐに見つめ始めた。
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