青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
 開始と同時に森が大きくざわついた。

 そして、森の中からおびただしい数の黒服の男たちが武器を携えて姿を見せてきた。組織側は、早速数の利を活かしてきたのだ。

 マシンガンや拳銃、中にはバズーカを持っている者もいる。

 まさに一切手加減なしのようだ。

「走りなさい!」

 セレビアは、そう叫ぶと共に一つの魔法を唱える。


―光の壁よ、全てを拒め!―


 それは、かつてクヲンとの戦いでセレビアが使った特殊な障壁だ。

 前方に展開された見えない光の壁はあらゆる攻撃からセレビアだけでなく、逃走中の空兎達をも守る。それは例えバズーカの弾でさえも捻じ曲げてしまい、決して壊すことはできない強固なバリアだ。

「サンキュ! セレビアさん!」

 火器が猛襲し、土埃が爆音と粉塵が巻き起こる中、空兎は届くか届かないかも分からない声を上げて走り出す。それに、仙太とマリィがついていく。セレビアはそれを見送って小さく微笑んだ。

「優しい顔ですね」

 そんなセレビアの微笑みに、ジョーは彼女の耳元で囁いた。

「え?」

 自分がそんな顔をしていたことに自覚がなかったのか、驚きの顔になるセレビア。だが、照れ隠しをすることはない。

(まだ、私もそんな顔ができたのね……)

 それが少し嬉しかった。不思議と力が沸く。

「ヒーローくん、空兎やせっちゃん、悪魔ちゃんを頼むわよ!」

「……では、セレビアさんも張り切り過ぎないでくださいね」

 それを告げるとジョーは三人の後を追った。セレビアはそれに視線を送ることなく、だが、表情だけはまた先ほどと同じようになって唇を動かした。

 あなたもね、と。その後で森に群がり弾を無駄に消費している黒服たちに溜息をつく。

「……しつこくて、無粋な子達はお仕置きが必要ね」

 語尾と共に不敵な笑みとなるセレビアだった。
< 358 / 500 >

この作品をシェア

pagetop