青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
 それを弾き落とすのが目的だった。

「うぉりゃぁ!」

 渾身の一撃が振り下ろされる。だが、マリィもここで己の武器を失うわけにはいかない。

 クヲンの狙いが分かったわけではないが、反射的に槍を両手で横に持ってクヲンの大鎌を真っ向から受け止めた。

 衝突の瞬間、あまりの衝撃にマリィは腕が痺れたが、武器は落とさなかった。

 クヲンが小さく舌打ちをする。対してマリィは痛みと腕の痺れに苦い笑みを浮かべながら文句を告げる。

「もう、危ないじゃないですかぁ!」

 それに思わず苦笑してしまうクヲン。こんな状況でも、こいつは変わらないな、という思いがあり、どこか羨ましく感じた。

「安心しろよ、殺しはしないからよ」

「えぇ? そうは見えませんよ~」

 次の瞬間、マリィはこのこう着状態を解いた。

 槍の軸をずらして、クヲンの大鎌を捌いたのだ。大鎌の重量と咄嗟のことでクヲンの体勢が崩れる。

「え?」

 そう間抜けな声を出した瞬間、クヲンは頭に強烈な痛みを感じ、地面へ向けて落下し始める。

 もちろんマリィの仕業だ。

 彼女が捌いた次の瞬間、その場でクルっと一回転して距離を合わせる同時に、遠心力たっぷりに乗せて矛の腹でクヲンの頭を叩いたのだ。

 マリィもマリィで容赦はない。

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 眼前に迫る大地にクヲンは絶叫する。

 だが、次に瞬間、どこか冷静になった頭が翼を羽ばたかせて体を中に浮かせ地面との激突を防いでくれた。

「さ、さすがにやばかった………」

 あと二、三メートルといった距離に見える大地にクヲンは冷や汗を流す。

 そして、深く深呼吸して心を落ち着かせると頭上を見上げ、辛うじて見えるマリィを捉える。

「さすがに、ちょ~っと怒ったぜ」

 口角を不敵に吊り上げ、眼光鋭く睨み、クヲンは再度飛翔した。
< 376 / 500 >

この作品をシェア

pagetop