青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
§


 緋上ジョーは走った。

 ヘリのガトリングから弾丸が嵐の如く襲い掛かったが関係ない。背中を掠め、膝をつきそうな衝撃と痛みが圧し掛かるが、歯を食いしばって耐え、最小限の怪我で凌ぐ。

 そして、ヘリのほぼ真下に転げ回った。

 砲撃の死角である。

 ヘリはジョーの意図に気づき、砲撃を止めて上昇。すぐに銃口を修正する。

(思ったより早いな)

 ヘリの機動性に嫌な汗をかきつつ、ジョーは再び大地を蹴り、死角に入ろうとする。木々がヘリの砲撃によって倒れているため、盾にはならない。

 砲撃を凌ぐにはガトリングの死角に入るしかないのだ。

 しかし、ヘリの操縦者はジョーの考えをすでに読んでいる。

 巧みにヘリを操縦し、ジョーが死角に入るのを阻止しようとする。

 だが、ジョーはある地点から突如、死角に入ろうとはせずに真っ直ぐに走り始めた。

 観念したか、そのまま逃げるつもりか?

 何にせよ、背中を見せている姿は隙だらけのなにものでもない。

 ヘリの操縦者は躊躇することなく、砲撃を開始した。

 ジョーの背中を追いかけるように、倒れた木々が次々に砕け散っていく光景が広がっていく。ヘリの操縦者はそれを見て興奮しているのか、高らかに笑っているが、銃声で完全にかき消されていた。

 まるで肉食獣が草食獣を追うように弾丸は急速にジョーに迫る。

(あと少し!)

 ジョーは最後の賭けのつもりか、その場で思いっきりヘッドスライディングをし、直後、ヘリからの弾丸が砂塵を起こして、それがジョーを覆った。
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