青空、ハレの日☆奇跡の条件（加筆修正中）

　ヘリの操縦者が興奮の余り撃ちすぎたせいか余計な砂塵が巻き上がり、砂煙が辺りを覆う。

　操縦者は小さく舌打ちをするが、どこか目的を達成した気になっている。当然だ。

　あれだけの弾丸を喰らって無事な人間などいるはずがない、と。少なくとも彼はそう確信していた。

　だが、彼はジョーをかなり過小評価していた。

　砂煙がヘリの風圧で晴れていくと、そこにジョーは立っていた。傷ついてボロボロな状態でありながらも、悠然と立っていた。

　そして、ヘリに向けて唇を動かす。

　それは、こう動かしていた。

「僕の、勝ちです」

　と。

　その次の瞬間、ジョーは大きく肩を振り上げて力一杯、ヘリに向けて何かを投擲した。

　その“何か”とは、灰山が落としたナイフだ。

　ジョーの狙いは最初からそれだったのだ。ヘリの死角に入りつつ、弾丸の嵐を凌ぎ、どこかに落ちた灰山のナイフを拾う。

　ジョーの目算通り、勢いよく投擲されたナイフは空気を切り裂きながらヘリのガトリングに命中。爆発を起こした。

　武装を失い、さらに爆発の衝撃でバランスを失ったヘリが不安定に飛行する。

　それを見て、ジョーが嫌な予感を覚える。

「ちょっと、やり過ぎましたかね？」

　今にも墜落しかねないヘリにハラハラする。

　どうやら砲撃直後で相当の熱を持っていたため、投擲したナイフの一撃でも爆発。結果としてジョーの予想を超えてヘリへのダメージが大きくなったようだ。

　とうとう、ヘリが飛行能力を失い、墜落し始める。

「まずい…！」

　さすがにヘリを受け止めるパワーはない。しかし、せめて操縦者だけは助けようとジョーは傷ついた体を奮い起こして大地を蹴って助走をつける。

　タイミングよくジャンプして跳び乗り、操縦者を抱きかかえて脱出するつもりだ。

　勢いよく墜落してくるヘリに向けてジョーがジャンプしようとしたその矢先、凛とした声が飛んできた。