青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
「血が足りないってことだよ。つーか、無理すんな、せっち。立派にお前は重傷なんだからよ」
聞き慣れたその声に二人は振り向く。当然のようにクヲンがそこに立っていた。
「クヲン! 君は確か……」
「あぁ、“本”と“鍵”を奪おうとして、ここのボスがいるところに行ったんだが見事にいなかったんでね。もしかして魔法使いさん狙いでこっちに来てるかと思って戻ってみたんだが……」
確認するようにクヲンは周囲を見回した後、肩をすくめた。
「どうやら無駄足だったらしい。じゃあな、無理すんなよ」
仙太にそう告げてクヲンは踵を返し、数歩歩いて森に消えた後、黒い翼を広げて飛び立った。何かを言う暇など与えてはくれないほどの素早い行動だ。
仙太がふと横を見ると、マリィが複雑そうな顔をしていた。迷わず仙太は言う。
「行ってください、マリィさん」
「え?」
「気になるんでしょう? クヲンのこと」
その問いにマリィは肯定こそしなかったが、表情で仙太には、マリィの気持ちが丸分かりだった。恐らくマリィ自身、自分でもどうしたいかわかっていないのだろうが、ジッともしていられないのだろう。
でも、それと同じくらいマリィには今の仙太が心配なのだ。
それも仙太は分かっていた。
「僕のことは気にしないでください。動かなければ大丈夫ですから」
その言葉と微笑みに後押しされたように、マリィの心が揺れた。ふと、自分の胸元にぶら下がっている十字架に気づいて、それをギュッと掴む。
すると、マリィの心が決まった。
「わかりました。では、絶対、ジッとしていてくださいね! 動いたら不幸にしちゃいまいよ!」
まるで母親が子供に言いつけるように、マリィは仙太にそう言うと、蝙蝠のような黒い翼を広げてクヲンの後を追った。
残された仙太は一人思う。
「ふ、不幸って……」
悪魔が人間を不幸にする時の行為を思い出して、一人赤面する仙太だった。
聞き慣れたその声に二人は振り向く。当然のようにクヲンがそこに立っていた。
「クヲン! 君は確か……」
「あぁ、“本”と“鍵”を奪おうとして、ここのボスがいるところに行ったんだが見事にいなかったんでね。もしかして魔法使いさん狙いでこっちに来てるかと思って戻ってみたんだが……」
確認するようにクヲンは周囲を見回した後、肩をすくめた。
「どうやら無駄足だったらしい。じゃあな、無理すんなよ」
仙太にそう告げてクヲンは踵を返し、数歩歩いて森に消えた後、黒い翼を広げて飛び立った。何かを言う暇など与えてはくれないほどの素早い行動だ。
仙太がふと横を見ると、マリィが複雑そうな顔をしていた。迷わず仙太は言う。
「行ってください、マリィさん」
「え?」
「気になるんでしょう? クヲンのこと」
その問いにマリィは肯定こそしなかったが、表情で仙太には、マリィの気持ちが丸分かりだった。恐らくマリィ自身、自分でもどうしたいかわかっていないのだろうが、ジッともしていられないのだろう。
でも、それと同じくらいマリィには今の仙太が心配なのだ。
それも仙太は分かっていた。
「僕のことは気にしないでください。動かなければ大丈夫ですから」
その言葉と微笑みに後押しされたように、マリィの心が揺れた。ふと、自分の胸元にぶら下がっている十字架に気づいて、それをギュッと掴む。
すると、マリィの心が決まった。
「わかりました。では、絶対、ジッとしていてくださいね! 動いたら不幸にしちゃいまいよ!」
まるで母親が子供に言いつけるように、マリィは仙太にそう言うと、蝙蝠のような黒い翼を広げてクヲンの後を追った。
残された仙太は一人思う。
「ふ、不幸って……」
悪魔が人間を不幸にする時の行為を思い出して、一人赤面する仙太だった。