青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
「こ、これは手品なんかじゃないわ・・・・・・魔法よ」

「うわっ、もっとすごい!ってことは・・・・・・魔法使い?」

「え、えぇ・・・・・・そうよ」

「ん~~~! レアキャラ発っっ見! マジヤバイ! あ、だから外人なのに日本語喋れるんだ!魔法で上手いことやってるんでしょ? 憎いねこのー!」

「いや、それは魔法関係ないんだけど・・・・・・」

 恐れるどころか、何やら喜んでいる様子の空兎に、セレビアは調子を狂わされが、とりあえず咳払いを一つして、話を元に戻す。

「とにかく、あなたもそこら辺に転がっている人達のようになりたくなかったらおとなしく“本”を諦めて、学校行きなさい」

 脅すというよりは、諭すように告げるセレビアたが、空兎は両手で“本”をガシッと掴みながら、ウィンクして返した。

「いくら魔法使いでも、それはダメ♪ それに、それじゃあ魔法使いじゃなくて泥棒になるよ?」

 あくまでも断固として“本”を譲らないという空兎の態度に、セレビアは少し焦りを感じ始めた。脅しも通じず逆にペースに乗せられてしまうこの娘に先の男達のような手荒なやり方をするにはどうにも気が引けてしまう。

 あの男達はセレビアが本を持っていることを知るなり、有無を言わさずに襲い掛かってきた。だからセレビアも遠慮なく非情になれたのだ。

 あっさりと魔法の存在や、自分が魔法使いであることを信じる当たり、子供っぽいのか無垢なのか。とにかく自分が空兎に呑まれてしまっていると分かっていた。

 好意的な印象を持つ少女だが、それとこれとは話は別。
持ち主を主張する空兎の方が正論なのだが、セレビアも断固として“本”を手放すつもりはない。

「あなた、これが何の“本”だかわかってるの?」

「当然! ページくっついてて途中までしか読めないけど、ここ一週間読みまくったし、昨日だってそこに書いてあった“奇跡を起こす宝”ってのを探してたんだから!」

「へぇ、この“本”に書いてあったこと、信じてるんだ……そして、あなたも“それ”を求めてる」

 その時、再びセレビアの目が細くなった。
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