青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
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ねぇ、せっちん。一度しか起こせない“奇跡”で皆が笑える方法って、何か分かった?

 アタシ、まだその答え出てないんだ。

 でもね、一つ分かったことがあるの。

 アタシなりの“奇跡の起こし方”。

 アタシなりの“奇跡の条件”。

 皆が笑えるかは、正直わかんないけどさ。

 でもこれなら起こせる“奇跡”は、一つだけじゃないんだよ。

 ………………………………………

 ……ねぇ、せっちん、聞いてる?




 空兎は、いつの間にか膝の中に沈めていた顔をゆっくりと上げた。

 辺りを見回すも、いつも傍にいる彼はいない。

(当たり前か……そう都合よくはいかないよね)

 彼はヒーローではない。自分が求めている時に都合よく現れるわけではない。

 ましてや魔法使いのように特別な力があるわけでもない。

 だけど、空兎にとって、彼は最も信頼している人なのだ。

 傍にいないと、寂しい。

「兎みたい……か」

 彼が言ったことを思い出して、小さな笑みを口元に作る。寂しい気持ちに変わりはないが、それに押し潰されそうだった気持ちがほんの少し軽くなった。

 座ったまま、ぐーんと伸びをしてから立ち上がり、先ほどから一緒にいるスーツ姿の男に告げる。
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