青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
 一方、灰山は、クヲンが黙ったままなのを迷っているのだと思ったのか、こう付け足した。

「何なら、俺の起こしたい“奇跡”を話してやってもいい」

「あ?」

 クヲンは思わず顔を上げて間抜けな声を上げた。次の瞬間、「ぷっ」と噴き出してしまう。

「………なんだよ?」

 じろりと睨む灰山に、クヲンは咄嗟に顔を逸らした。その状態のままクヲンは笑いを堪えながら告げる。

「いや、俺、あんたらの起こしたい“奇跡”知ってるからよ」

「……話したか?」

「いんや……あれだろ? あのずっと眠り続けている女の子を目覚めさせるためだろ?」

「……あぁ」

 灰山が正面を向いて肯定した。

「しかし、一つ分からないことがある。なんで、あんたがあの女の子にそこまで拘る? ひょっとしてロリコン?」

「…………………………………………………………………………………………」

「わりぃ、冗談だ」

 灰山の無言の圧力が妙に怖くなったので、クヲンは素直に謝った。

 ほどなくして灰山が話し始める。

「あの娘は、俺の従姉の娘だ……」

「ボスの娘だからって、わけじゃないのか?」

「俺にとっては、従姉との約束の方が大切なんでね」

 そう言いながら灰山は懐から取り出した白いボロボロの封筒をクヲンに見せた。

「……見ていいわけ?」

「ダメだ」

 短く否定した灰山は素早くそれを懐にしまった。クヲンは唖然としてしまう。
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