青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
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 空兎と仙太のやり取りを眺めながら、魔法使いは、ヒーローに問うた。

「ねぇ、ヒーローくん。私に“奇跡”を起こせると思う?」

「え?」

「“神杯”とは別の方法で、マレストを救う方法を探し出せると思う?」

 その問いに、ジョーは、いつもの笑みに若干の陰りを重ねて返す。

「分かりません。僕はヒーローであって、預言者ではありませんから」

「……ハッキリ言ってくれるわね」

 だが、セレビアとって気持ちのいい答えだった。気休めな答えなどいらない。ただ純粋に彼の意見が訊けた。

 それだけで満足だった。

「……ただ、一つ言えるのは」

「え?」

「未来(さき)のことは分かりません、ってことです。でも、セレビアさんが諦めたら“奇跡”は起こらないでしょう」

 陰りのない、ジョーの清々しい笑顔。真似しようにもとても近づけないが、せめて自分にできる限りの笑顔を、セレビアは作って返す。

「……何言ってるのよ、諦めるわけないじゃない」

 だって、マレストも大切な人なのだから。


 魔法使いとヒーローは、空兎と仙太を今一度見て、彼等の元へと走った。
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