青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
「・・・・・・もしかして、空兎ピンチ?」

明らかに只ならぬ空兎の様子に仙太は、不安になり悩んだ。
助けに行くにしても、肝心の居場所がわからない。

「・・・・・・・・・」

 頭をフル回転させて黙考すると、意外にも早く一つの案が思いついた。
だが、それは大きな賭けでもあった。一瞬、実行を躊躇ったが、仙太の手はすでに携帯電話を操作し、電話帳の検索していた。

 そして、見つけ出したのは“蒼咲(あおざき)総合病院”


 母親の勤め先だ。


§


 蒼咲総合病院。
 この町で一番大きいこの病院は入院患者や外来患者も多く、勤めている医師や看護師は朝から忙しい。

 ここの外科医である甲斐浜 紗恵美も外来診察が始まる前の朝は入院中の担当患者へ回診に行くのが常だ。

 そして今は昨日、救急車で運ばれ、緊急手術を受けた患者の元を訪れている。拳銃で撃たれ、重傷だったのにも関わらず、運ばれたその時から妙に清々しい一風変わった患者だ。

「手術の方も無事成功し、なによりお元気そうなお顔で良いですね」

 紗恵美はその患者に聖母のような優しい笑みで話し掛ける。
 患者は清々しい爽やかな笑顔の持ち主で、誠実さが全身から滲み出ている二十代前半くらいの若者だ。

 恐縮したようにその患者は紗恵美に返した。

「いやぁ、頑丈さと健康だけが取り柄のヒーローですから」

「まぁ、緋上さんって、面白い方ですね」

 クスクスと笑う紗恵美に、その患者、緋上ジョーは照れ笑いをする。おっとりとした紗恵美と爽やかなジョーが漂わせる空気はその病室を自然と和やかなものとさせていた。

「傷の方は大丈夫そうですが、一応、色々と検査した方がいいのでしばらくは入院生活を我慢してくださいね? なにせ拳銃で撃たれたのですから」

 紗恵美の言葉にジョーはますます恐縮したように、「お世話になります」と、頭を下げた。

 その後、今後の検査の事やリハビリの事等を話していると、一人の女性看護師がその病室に訪れてきた。
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