青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
−我らを、導け!−
強い口調でセレビアが唱えたその瞬間、“本”を包んでいた光が中央に集束し、矢印の形をとって、ある方向差した。
一同の視線がその方面に一斉に集中する。
「東ね!」
セレビアがそう言うと、矢継ぎ早にジョーが、
「いえ、これは北東では?」
と、返した所で、今度は空兎が、自信満々に、
「南西!」
と、断言した。
意見がわかれた三人が、顔を見合わせ、押し黙る。
互いに自分の方向は間違っていない、断固譲らないという沈黙の主張だ。
そんな中、仙太は、自分のリュックからから方位磁石を取り出して、矢印が指し示した方向を確認する。
「北北東ですね、これは」
それを聞いた三人の目が、仙太に集中する。
口には出さないが、三人とも、時代劇風に例えるなら、「やるな、お主!」といった感じの視線を送っていた。
そんな沈黙も程々に、セレビアが本題に引き戻す。
「とりあえず、これで行くべき方向は決まったわ」
「あ、じゃあ、レンタカーでも借りてきましょうか? 僕、普通自動車の免許はあるので」
そう提案したジョーだが、セレビアは、「大丈夫!」とばかりに、チッチッと舌を鳴らした。
「アシならこっちで用意してるわ」
そう言ってセレビアは自分の黒いとんがりハットをとって、手品師が鳩を出すかのように手を穴の中に入れた。
だが、出てきたのは鳩ではなく、大きな円柱形の布製物、その先端部だった。
「はい、ヒーロー君、ちょっと帽子持っていてくれる?」
「はい」
ジョーにハットを持たせると、セレビアは円柱形の物を両手で掴んで、一気に引っこ抜いて、それを立てた。
「せ、セレビアさん、これってまさか・・・・・・」
それが何か、予想がついた空兎の目がキラキラ輝く。セレビアはウィンクしながら答えた。