青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
「確かに分かりやすいが・・・・・・」

 その凡人というのは、僕の事かい? と、仙太は訊きたかったが、止めておいた。
 あっさりと肯定されるだろうと予想がついてしまったからだ。
 そう思うと少し悲しく、仙太はまた絨毯に顔を沈めた。これで三度目である。
 セレビアは口を、苦笑の形に変え、「まぁ、いいか」という面持ちだ。そして話をまとめる。

「まぁ、そんな感じだから、気を引き締めていきましょう。空兎隊長」

「うん!」

 『空兎の~』と言うからには自分が隊長だと自覚していたのだろうが、それでも人から言われて嬉しいのであろう。

 空兎は太陽に負けないくらいの眩い笑顔をして見せて、ジョーの号令に答えた。

 そして、絨毯で飛行すること約三十分。
一旦、絨毯を停止させ、セレビアは再び本に魔法をかけて、“鍵”の在処を指し示す矢印を出現させて、行き先を確かめた。

 全員が注目する中、矢印は進行方向よりは、ほぼ真東を指し示した。

「あ、さっきと方向が全然違う! セレビアさん! 行く方向間違ってたんじゃないのぉ?」

「空兎よりかは方向感覚マシよ。ちゃんと北北東に進んでいたわ」

 空兎の文句を、適当にあしらいながら、セレビアは顎に手をやりながらこの現象に悩んだ。

「もしかして、近くにあって、通り過ぎようとしているんじゃありませんか?」

 ジョーのその推測が正しいのだろうが、セレビアは何か引っ掛かっていた。

「だとすれば、結構近くにあるってことよね・・・・・・」

「降りて探してみますか?」

 ジョーの提案を、セレビアは検討してみるが、やはり何かが引っかかる部分があるのだろう。

「いえ、もう少し空から行きましょう。せめて矢印が真下側を指すまではね。
 それから、“本”には魔法を掛けたままにしておくわ。もしヒーロー君の言う通りなら細かく移動しなきゃね」

 そう言って、少しスピードを抑えてながら、矢印が示す方へと絨毯を飛行させた。

 それから約五分後。
また進行方向と、矢印の指し示す方向にズレが生じた。直ちに修正して、飛行を続ける。

 その約十分後。
今度は真逆を指した。通り過ぎたのかと思い、さらに速度を抑えながら、逆戻りをする。


 そして、さらに約五分後。

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