青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
「まっ、こっちとしてはなんとかしたいものよね。けど、確かに厄介だわ。今までのを見る限り、“鍵”はかなりの高速で移動している。矢印の方向がいきなり真逆になったのが証拠よ」

「確かに。さっきも徐々にというよりは、パッて変わりましたからね」

 顎に手をやりながら、深刻な面持ちになるジョーは言った後、ふと脳裏に浮かんだ仮説を唱えた。

「もしかして、瞬間移動みたいなものをしているのかも?」

 SF的なことを言うジョーに、真っ先に空兎が食いついてきた。

「うぇっ!? 瞬間移動!? だとしたら、マジ、やばくない!」

 ジョーとぶつかりそうなくらい身を乗り出してきた空兎は、言葉とは裏腹に、何故か楽しそうだ。

 対してセレビアは、頭痛を感じているかのように頭を抑えている。

「その可能性は否定できないわ。それで、もし、それが正しかったらますます厄介よ。瞬間移動、つまりは空間を操作する魔法なんて、私、知らないわよ?」

「僕も、そんなものができる道具は聞いた事ないですねぇ」

 魔法使いとヒーローはお手上げといった感じだ。
 そんな中で仙太はふと思った。

(瞬間移動とかまで出てくるなんて・・・なんか凄いことになってきたなぁ)

 今まで、非現実的なことだと思っていたことが次から次へと出てくる。
 だが、どこかそれらを受け入れつつある自分がいる。自分が徐々にそれらを受け入れつつある。慣れというものなのだろうか?

(まぁ、世の中まだまだ知らないことがたくさんあるって、ことなのかなぁ)

 そんなことを不意に考えていた仙太の目に、突如として空兎の顔がアップに映る。

「うわっ!?」

 焦点がズレていたため、最初、何かはわからなかったが、視界に入ったことで反射的に驚き、慌てふためいてしまう。空兎と気づいたのは、少し離れた時だった。

「『うわっ!?』じゃない! 何か良い方法ないか、ちゃんと考えてる!?」

 プリプリと怒りながら、空兎は仙太に詰め寄る。
 どうやら、仙太が関係のないことを考えていたのが、傍目からわかっていたようだ。

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