青空、ハレの日☆奇跡の条件(加筆修正中)
「それより、一番の問題は“鍵”よ。なんとか良い方法ないかしら?」

 その問い掛けに空兎が含みのある笑みを浮かべた。

「実はね!モーレツスペシャルナイスなアイディアが浮かんだのよ!」

 自信満々に宣言する空兎だが、彼女の隣に座っている仙太はまるで期待していない顔をしている。

 そんなことは目に入っていない空兎は返事を待たずに捲し立てる。

「聞きたい?聞きたくないって言っても、アタシが言いたいから言うわ!」

(だったら訊くなよ)

 次の空兎の発言前に、仙太は内心で突っ込んでおいた。

「“鍵”は生きてるかもしれないんでしょ! だったらこちらから探すよりも、誘き寄せた方が簡単だと思わない?」

「どうやって?」

 セレビアの質問に、空兎は即答しようとしたが、その前に仙太が割って入った。

「まさかとは思うけど、餌で釣るなんて言わないよね?」

 カチンと空兎の得意気な表情が凍りつく。そして、それが徐々に怒り顔に変わって、

「先に言うなーっ!」

 仙太の両肩を掴んで、思いっきり揺らした。
怒りのシェイクである。幸いなことに仙太は紅茶のカップを足下に置いていたので溢して惨事に至ることはなかったが、仙太は、軽い目眩を被ることになった。

「う~ん、アイディアとしては悪くはないんだけどね」

 セレビアがそう言うと、空兎は、シェイクを止めて、パッと明るい顔を彼女に向けた。

「でしょ!」

「けど、肝心の餌をどうするかが問題よね」

「チョコレートケーキとか、フルーツタルトなんかどう? アタシならすぐ飛びつくよっ!」

 空兎の発言に仙太とセレビアが同時に溜息をついた。そんな中でジョーだけが変わらずの笑みで口を開いた。

「まぁ、他に良い方法がなければ、とりあえず試してみたらどうでしょう?」

「ナイス発言! ジョーさん!」

 空兎に笑顔が戻る。ジョーの発言に、セレビアは一考した。確かに一理はある。
 何もしないよりかは、何かしたほうがいい。それが例え失敗になろうとしても、“鍵”の好物がケーキの類ではないとわかったと思えばいいことだ。
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