【短】ドキドキ☆デート
お化け屋敷
「茉美、くっつきすぎだろ?」
「だって、だってぇー…
怖いんだもん!!幽霊……。」
ここはお化け屋敷。入った瞬間から辺りは暗く天井から落ちる水しぶきの音が茉美を怖わがらさせている。
俺の手を掴んではなさない。
「しゅーう、怖いーっ。」
「目閉じてるとこけるぞ?」
「怖いもん」
ニヤ。
ふと思ったんだ。俺が手を離したらどうなるだろうってな。
そしてこんなに怖がる茉美を少し驚かしてみたくなったんだ。
…ああ、俺って小学生の時から成長してねーのか?
なんて思いながらも実行にうつす為に手をはなす。
「え…、しゅ…愁!」
案の定焦ってる。俺は茉美の視界から消えるように後ろにさがった。
「…愁くん?」
茉美の不安そうな声。
茉美の後ろに回ると、肩に手を置いた。
──ポン
「うわぁ!」
「きゃあああぁぁー!!」
予想どおりの反応。そのまましゃがみこみ顔を膝に埋める茉美。
「うぅ……。」
やべぇ、泣いた?
「お、おい茉美。」
「愁くぅん。」
やっぱり。顔を上げた茉美の目には涙が溜まっていた。
だめだ。今日は茉美に告白するために来たんだ。こんないたずらしたら逆に嫌われるよな。
それに…いくらなんでもここではなかったよな。茉美、本気で怖がってる。
茉美の手を握って立たせる。
「悪い。もう離さないから。」
茉美の手を強く握る。握ってて分かるけど小さい手。
俺が、俺が守ってやらなきゃ。
違う。
俺が茉美を守りたいんだ。だから絶対、告白するんだ。