時には、こんな始まり方も【sideマサ】
すると、雫はゆっくり顔を上げて俺を見上げる。
「…本当に……いいの?
だって私昨日……自分からホテルに誘ったのに…」
申し訳なさそうな顔しちゃって、可愛いなぁ。
だから、つい――
「確かに、裸になってベッド占領するし、おかげで俺は性欲と理性が一晩中闘って、一睡もしてないけど?」
いじめたくなる。
でも
「――ごめんなさい。」
真に受けた雫は、本当に気まずそうに謝った。
「あぁ〜!ごめん!
またからかっちゃったな。
本当に、今日はいいよ。俺達、ついさっき付き合う事になったばかりだし。
こういうのは、なんかもっと大切にしたいから。
だから、謝る事ないよ。」
これが本心。
分かってる?雫?
「――うん、ありがとマサ君。」
良かった、伝わったか。
って?
なんでそんなに可愛い顔で俺を見つめちゃう訳?
瞳をキラキラ輝かせて。
今、すごい我慢してんだけど?
“今日は手は出さない”
って決めたし?
でも、そんな可愛い顔で見つめられたら
―――無理?