時には、こんな始まり方も【sideマサ】
驚いているのか、雫は固まったまま微動だにしない。
「――ごめん雫。」
だから、耳元にそっと囁く。
「…マサ君。」
もしかして照れてる?
腕の中の雫は、小さな声で俺の名前を呼ぶ。
その耳たぶが赤く染まっているから、ついつい唇で触れたくなってしまう。
……って、ダメ駄目。
我慢だ俺!!
「…なんかあのまま帰したくないから家に誘ったけど、今すぐどうこうっていう訳じゃなくて……
今日は本当に側にいてくれればいい。
雫のおかげで、俺、今すごい眠いしさ。
だから、あの約束はまたの機会でいいんだ。」