愛しい記憶
~side 遥~

美沙が記憶喪失になってからもう明日で一週間。
遥は自分の部屋のベッドに腰掛け、物思いに耽っていた。

「はあ…」

思わず溜め息を吐く。

美沙が記憶喪失になってしまった。

おじさんやおばさんの事も俺の事も覚えていない。

一週間程前、大学で講義を受け終わり、友達と語らっていた時。
携帯が鳴り出ると、美沙のお父さんが取り乱した様子で言った。

『美沙が事故にあって意識が戻らない』
と。
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