愛しい記憶
夕日が見える病院の屋上。

そこに私はいた。

時折吹いてくる風が気持ちいい。

私は屋上の端まで行き両手を広げてみた。

「はあ…」

息を吐く。

ここから飛び降りるために来た。

これ以上お父さんやお母さん
それに、遥さん
迷惑はかけられない。

事故にあった時そのまま死んでしまえば良かったんだ。

そしたらこんな悲しくなかった…のに…

涙が溢れてきてとまらない

「うっ…ふぇっ……」

ごめんなさい…

お父さん

お母さん

遥さん………

私は柵に手を掛けた。

その時―――

みさ!

どこからか小さく遥さんの声が聞こえた。
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