愛しい記憶
「美沙!」

今度はすぐ後ろから遥さんの声。

振り向くと遥さんがこちらに走って来る。

なんで………?

遥さんがここに……?

私は飛び降りるのも忘れて立ち尽くしていた。

遥さんは私のすぐそばまで来ると私の腕を掴んだ。

「何してんだよ…美沙!」

遥さんは走って来たのか息が乱れている。

心配してくれたんだ…

そう思った瞬間

嬉しさと何とも言えない感情がで涙また溢れてきた。

「わ、私…お父さんやお母さんに、それに遥さんにも迷惑かけちゃったから飛び降りて死のうと………」

「馬鹿かよ!」

へっ?

バカって……

言った遥さんを見ると目が潤んでいる。

「記憶戻らないから死のうとしたんだろ?
そんなのどうだっていいよ。
記憶があったって、無くたって
美沙は美沙だよ」

優しく笑う遥さん

その言葉に涙ポロポロと零れる。

「それに俺も、おじさんもおばさんも美沙の事迷惑なんて思ってないよ。今だって2人とも美沙の事探してるよ。」

そうなんだ…
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